
カカオレート®︎とは
カカオの純粋な魅力を生かすために、
私たちにできること
私たちのような、自然食をベースとする会社が製菓の道を歩み出し、カカオの魅力に取り憑かれるまでには時間はかかりませんでした。
残念なことに、多くのチョコレート産業では大量生産が前提となり、カカオは最も不条理に取引される不公平貿易(アンフェアトレード)の最たるものとされ、強きが弱きをくじくためのツールとなっています。今、世界は力の強いものが覇権を握るという前世紀で終わったはずの価値観が蒸し返され、歴史(やものごと)はスパイラル状に進化するという趣旨を述べたヘーゲル的な弁証法を証明するような出来事に見舞われています。私たちはこの前提にたち、より進歩的であり続け螺旋状の発展に寄与するためには何ができるか?という問いのなかで、旧時代のチョコレートを進化させたカカオレート®という製品概念を打ち立てるにいたります。
カカオレート®とは、カカオそのものの機能性を生かし、誰をも害さず、むしろ食することで人々を豊かにすることを前提とした進化的な食品です。素材の厳選と生産者との関係性はもちろん、製造過程におけるエネルギー調整にいたるまでを一貫して行い、他に類を見ないカカオの可能性を引き出したMade in Kyotoの技術の粋です。つまり、私たちが作るのはチョコレートではなく、まさに心の薬そのものなのです。
プレマルシェ・カカオレート®ラボ
ショコラティエ/オーナー 中川信男


プレマルシェ・カカオレート®ラボのものづくり
お菓子の評価軸は、メディアで取り上げられる焦点と同じく、「おいしいか」「(SNSに)映えるか」「コスパがよいか」など、実にジャンクな目線で成り立っています。確かにおいしいことは必須ではありますが、ただそれだけを軸にカカオを用いた食品を評価してしまってはもったいないのです。カカオは世界の多くの国で人々の健康と心に対する効果が伝承され、また科学的に証明されています。しかし、残念なことにカカオのこれらの効果を最大にするためには、大量生産もしくは問屋経由の素材調達など、そこで利益を得ようとして関与する人が増えれば増えるほどその純粋性を失うことも感じてきました。
同じ材料で作ったチョコレートでも、関与する人の違いと製造する場の環境如何で全く別物になるのが、この神聖な効果をもつカカオの重要な特徴のひとつです。ちまたには生産地の気温や輸送環境、細菌の繁殖などを度外視したローチョコレートなるものも存在しますが、実際には加工が簡単なカカオ由来の油脂であるカカオバターが大半の産物であるなど、ポリフェノールや酵素云々以前の問題がそこにあります。
これに対しカカオレート®は、純粋にカカオ全体の機能性を正直に引き出したものであり、一口食べてしあわせなおいしさを感じ、体内に入って私たちの心身と共鳴し、その結果として私たちの生命力を高めるものと定義しています。これは温度がどうとか、素材がどうという一側面ですべてを語るようなものではなく、場を統合し心をひとつにしてのみ、なし得るものづくりなのです。これらはすべて、心の薬を作るという信念に基づいています。
大切な人には安全な食べ物を食べてほしい
そんな気持ちを教えてくれたのは、元職場の子どもたちでした。母校の小学校で3年間教員として働いていた私は、子どもたちの食に対する強い執着と、美味しいものを食べている時の幸せそうな笑顔に大きく心を動かされました。私自身は食に対する強いこだわりがあるわけではありませんでしたが、大切な人には安全な食べ物を思いきり食べてほしいと感じるようになり、食の道へ転向することを決めました。
チョコレートやビーントゥバーについての知識が皆無だった私は、2022年4月から勉強をはじめ、6月にはイタリアで3日間のビーントゥバーコースを受講しました。言語の壁もあり、内容は想像以上に難しく、分からないことだらけ。帰国後、カカオ豆からのチョコレートづくりを始めました。焙煎の微妙な時間の変化で味が大きく左右されたり、基本は機械がおこなう工程でも、人が状態を確認して時間を調整したり、知れば知るほどチョコレート作りは奥深いものでした。分からないことは実験をしてみたり、本を読んだり、人に話を聞いたりしながらなんとか完成したのが今のカカオレートです。
カカオ豆から1枚のカカオレートを作るのには長い時間がかかります。豆を一粒ずつ選別し、丁寧に洗い、プロファイリングした上で焙煎し、皮をむき、なめらかになるまで時間をかけてすり潰し、練り上げ、熟成し、調温し、型に入れてから固めます。製品の形になった後に、人の手で1枚ずつ梱包します。選別が終わった状態から熟成前までの工程で、短くても1週間はかかるのです。時間がかかる分、1枚1枚に祈りと愛情を込めて大切につくっています。カカオレートに出会って下さった皆様が笑顔になりますように。そんな祈りを込めて、今日もカカオ豆と向き合っています。
カカオレート®プロデューサー
中川 愛

